湘南イラストレーション倶楽部 相浦裕 【ただいま生徒募集中!】

相浦 裕 → 日本人。 長崎県出身。
誕生月日 → 11月23日勤労感謝の日
身長181僉 体重75繊
人間→ O型。温厚。のんびり屋。
好きなもの→ 絵。たまさちゃん。サイクリング。電車に乗ってお酒と美味しい弁当を食べること。ウォールトディズニーの世界。 お好み焼き。寿司。すき焼き。

 たまさ(ちゃん)。
 生年月日: 2010年10月10日。
  Breed: Scottish Fold (三毛猫)。
Eye Color:  Gold。
  性質:  気まま。自分勝手。
  長所:  とてもかわいい。
母との最期の会話。   相浦 裕です。
 

 

 

慌ただしく長崎空港へ向かった。

空港からリムジンで佐世保へ向かうと車窓から懐かしい街が見えてきた。

 

駅へ到着すると真っすぐ佐世保市民病院へ向かった。

病院の受付で母の入院する部屋を聞き 古い病院の薄暗い階段を上がって母の部屋のドアをノックした。

ややしゃがれた返事があったのでドアを開けると ベッドの中から顔だけあげてこちらを向く母がいた。 何も知らなければ重病とは思えない。

私の母は あまり風邪などの病気で布団に入っている姿を見たことがなかったので幼いころから強い母という印象がある。 

久しぶりにみる母は布団の中で小さくなっていた。

ベッドで寝ている姿は幼いころからこんな入院している母を見たことがない状況に痛々しく感じた。

 

そういえば長崎へ帰る前に 大阪の国際花博サントリー館の建物全体がほぼ完成に近いとN工芸社から連絡があった。

是非、佐世保で入院中の母にサントリー館の建物と自分が制作した壁画完成直前の様子を撮影するためサントリー館の現場へ入ることにした。

制作者本人が言うにはおこがましいがサントリー館は大迫力の素晴らしいものであった。

その中に自分の作品である大壁画も心から身震いするほどのものがあった。

 

母のことを佐世保市民病院の担当医から「余命はもうごく僅かです。」と宣告され

花博サントリー館壁画作品を母へ見せたいと強く思った。それが現在自分ができる範囲の最高の親孝行だ。作品を母へ見せるためにサントリー館壁画の写真を次々に撮った。

 

そして母の入院している病院の壁に写真プリントした作品の写真を引き伸ばして貼った。

母が寝ていてもよく見える位置に何枚も貼り付けた。

 

母は私の作品を見て「あらっ綺麗かね〜。この絵はあんたが描いたと?」と聞いたので

私は「そうたい。」と答えた。

母は「綺麗か。綺麗かばい。よか絵たい。よか。よか。」とそれだけ言って笑った。

私は「ありがとう。それだけ言うてもろうて嬉しかばい。」と言った。

 

母はあれやこれやと壁画のことを聞かなかった。

私も仕事を依頼されたときの喜びや苦労話等一切何も言わなかった。

 

それから毎日、母は私の顔を見るたびに作品の写真を見て

「綺麗か。綺麗かばい。よか絵たい。よか。よか。」と繰り返し寝言のように言ってくれた。

人生の中でこれほどの褒め言葉はないと感じ嬉しかった。

 

入院している母は水か氷を少し口に含むだけで何も食べられなかった。

ただ昔から母はあんこたっぷりの“おはぎ”が大好きであった。

母は 私へ「四カ町の“おはぎ“ば買うてきてくれんね。」と言った。

私は「え?今は点滴だけで先生は何も食べちゃいかん。って言われとるやろ?」と言うと

母は「うんにゃ、おはぎばただ見るだけでよかとたい。」と言う。

可哀そうでたまらず「じゃちょっと待っとって。」と言って四カ町の“おはぎ“を買ってきた。

何より大好きなおはぎを見せると それを食べられない母が何度も確認するように見て 覚悟を決めたように感じた。

「ありがとうね。」と言って何とも言えない表情であった。

私は心の中で母が可哀そうでたまらず泣いて泣いて狂うほど泣きたかったが、
その姿を見せないように最大に耐えた。

 

私は入院中の母のベッドの下でざこ寝していた。

母は夜中、急に起きて真っ暗な病室の中で

「ひろし。ちょっと起きて。」と私をゆすり起こした。

そして精一杯のこころを込めて 

「ひろし、ごめん。」 とはき出すように言った。

 

生涯、忘れられないひとことだった。

私は「よか。よかと。なんば言いよるとね。はよ寝らんばたい。」と言って

母へ布団を掛けた。

 

これが母との最期の会話となった。  

相浦 裕です。

| 相浦 裕 | - | 23:31 | comments(0) | trackbacks(0) |









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